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先に結論をお伝えします。
離婚で姓(名字)が変わると、登記簿に載っている名義(旧姓)と、いまのあなたの姓が食い違います。この状態では家を売る決済が進みません。売る前に「氏名変更登記」で名義を現在の姓に直す必要があります。しかも2026年4月1日から、この変更登記は義務化されました(原則2年以内・怠ると5万円以下の過料)。私は買取・査定側にいた立場から、売却でつまずかないための”名前の手続き”を、どちらの立場にも立たずにお伝えします。
「離婚して旧姓に戻った」「再婚して新しい姓になった」——このとき、家の登記簿の名義は結婚していた頃の姓のままです。普段は気になりませんが、いざ家を売ろうとすると、ここが思わぬ落とし穴になります。(離婚と家の全体像は「離婚で家はどうなる?完全ガイド」にまとめています。)
売る段になって「名義が違う」と発覚するケース
【査定・買取側にいた立場から・一次情報】 現場でよくあるのが、売買の決済直前になって「登記の名義が今の姓と違う」と発覚し、手続きが止まるケースです。買主も決済日を待っているのに、売主側の名義が古いままでは所有権を移せず、決済が延びてしまう。
特にやっかいなのが、姓が2回以上変わっている場合です。「結婚で姓A→離婚で旧姓B→再婚で姓C」のように変わっていると、その変遷を証明する戸籍を出生からたどって集める必要があり、書類集めだけで時間がかかります。売却を思い立ってから慌てると、決済に間に合わないこともあります。
2026年4月から「義務化」されました
これまで住所や氏名の変更登記は”任意”でしたが、2026年4月1日から義務化されました(不動産登記法76条の5)。ポイントはこうです。
- 期限:氏名(住所)に変更があった日から2年以内に変更登記を申請する義務
- 過料:正当な理由なく期限を過ぎると、5万円以下の過料の対象になり得ます
- 過去の変更も対象:2026年4月1日より前に姓が変わっていた場合も対象で、この場合は施行日から2年以内(2028年3月31日まで)に申請すれば過料は科されません
- 登録免許税:不動産1個につき1,000円
つまり、離婚で姓が変わった方は、売る・売らないに関わらず、いずれ氏名変更登記が必要になりました。売却予定があるなら、なおさら早めに済ませておくのが安全です。(同じ”登記の義務化”の流れは、相続の場面でも起きています。姉妹サイト「相続の味方:相続登記の義務化」もあわせてどうぞ。)
「氏名変更登記」と「名義変更(所有権移転)」は別物です
混同しやすいので整理します。離婚では、似て非なる2つの”名義”の手続きが出てきます。
| 氏名変更登記(この記事) | 名義変更=所有権移転 | |
|---|---|---|
| 何をする | 同じ人の”名前の表記”を現姓に直す | 所有者そのものを別の人に移す(財産分与など) |
| いつ必要 | 姓が変わったとき(売却の前提) | 財産分与で家を相手に渡すとき等 |
所有権を移す「名義変更(財産分与の登記)」については「離婚で家の名義変更をするときの注意点」で解説します。本記事は、その手前の”名前の表記を直す”手続きの話です。
手続きは司法書士の領域。売却予定なら査定と並行で
氏名変更登記は自分でも申請できますが、戸籍の収集や書類作成に手間がかかるため、司法書士に依頼するのが確実です。売却を予定しているなら、登記の準備と、家の価値の把握(査定)を並行して進めると、いざ売るときにスムーズです。「登記が済んだらすぐ動ける」状態を作っておきましょう。
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次にやること(チェックリスト)
☐ 登記簿の名義が旧姓(結婚時の姓)のままか確認する
☐ 姓が何回変わったかを把握する(2回以上なら戸籍集めに時間がかかる)
☐ 司法書士に氏名変更登記を相談・依頼する
☐ 売却予定があるなら、登記と査定を並行して進める
☐ 過去に姓が変わっている方は、2028年3月31日の期限にも注意する
よくある質問(FAQ)
Q. 旧姓に戻しました。家の名義も自動で変わりますか?
自動では変わりません。登記簿の名義は結婚時の姓のままなので、氏名変更登記を申請して現在の姓に直す必要があります。2026年4月から、この変更登記は義務化されています。
Q. 氏名変更登記をしないと、家は売れませんか?
売買契約は進められても、決済(所有権移転)の際に名義が現姓と一致している必要があります。名義が旧姓のままだと決済で止まるため、売却前に済ませておくのが安全です。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
登録免許税は不動産1個につき1,000円です。これに加えて、司法書士に依頼する場合は報酬(事務所により異なる)と、戸籍などの取得費がかかります。
Q. いつまでに手続きすればいいですか?
姓が変わった日から2年以内が原則です。2026年4月1日より前にすでに姓が変わっていた方は、2028年3月31日までに申請すれば過料は科されません。売却予定があるなら、期限を待たず早めに済ませましょう。
この記事の書き手について
不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。中古マンション・戸建ての査定・仕入れ・販売までを担当し、離婚に伴う名義・登記の問題で売却がつまずく場面を数多く見てきました。現場で見てきた実際を、夫・妻どちらの側にも立たない立場で解説しています。なお、登記手続きの詳細は司法書士に、財産分与は弁護士に、税金は税理士にご確認ください。
最終更新日:2026年7月7日(不動産登記法76条の5・2026年4月1日施行、法令確認済み)
