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「家のことは口約束で決めた」——離婚後に一番揉めるのが、これです。
誰が家を取るのか、ローンは誰が払うのか、いつ名義を移すのか。書面に残していないと、後から「言った・言わない」で泥沼になります。協議書・公正証書に、家について何をどう書くべきかを整理します。
結論(先にお答えします)。
離婚協議書・公正証書に家のことを書くなら、最低限①家をどうするか(売って分ける/一方が取得)、②取得する場合の名義変更とその時期、③住宅ローンの負担者と支払い方法、④連帯保証の扱い、⑤売る場合の売却方法と代金の分け方を明確にします。とくに公正証書にして「強制執行認諾文言」を入れておくと、約束が守られないときに裁判なしで差押えなどに進めるため、金銭の取り決めに強い効力を持ちます。ただし注意:協議書に「ローンは相手が払う」「連帯保証を外す」と書いても、金融機関との関係は変わりません(→後述)。文案の作成や法的効力の確保は弁護士の領域です。当サイトは”何を書くべきか”の枠組みをお伝えします。
家は、離婚の取り決めの中でも金額が大きく、後の生活を左右します。だからこそ、書面の作り方が肝心です。(離婚と家の全体像は「離婚で家はどうなる?完全ガイド」にまとめています。)
家について書くべき5項目
① 家をどうするか:売って分ける/一方が取得する
② 名義変更:誰の名義にするか・いつまでに移すか
③ 住宅ローン:誰が・いくら・どう払うか
④ 連帯保証:どう外す・整理するか(金融機関の承諾が要る点も)
⑤ 売る場合:売却の方法・時期・代金の分け方
公正証書にする強み
【現場から】 単なる私的な協議書より、公正証書が安心です。とくに「強制執行認諾文言」を入れておくと、相手が約束(代償金の支払いなど)を守らないとき、裁判を起こさずに差押えなどの手続きに進める。「払うと言ったのに払わない」で泣き寝入りしないための備えです。金銭の取り決めがあるなら、公正証書を強くおすすめします。
離婚に伴う家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が、条件に合う物件を買い取っています(取引態様:当社が契約の当事者となる売買(直接買取))。買取の相談ができる物件か確認する
大事な注意:「書けば外れる」わけではない
❌ 「協議書に『ローンは元夫が払う』と書けば、連帯保証人の私は外れる」
✅ 外れません。協議書は夫婦間の約束にすぎず、金融機関の承諾がなければ、債務者を入れ替える(免責的債務引受=民法472条)ことも、連帯保証を外すこともできません。
→ 協議書で「誰が払うか」を決めるのは大切ですが、それと金融機関に対する責任は別物。連帯保証を実際に外すには、完済・借り換え・売却が必要です(→「離婚しても連帯保証は外れない」)。
名義変更の具体的な手順は「離婚の名義変更」、分与の割合は「財産分与「2分の1ルール」」で解説しています。文案の作成・法的効力の確保は、弁護士にご相談ください。金額の前提となる家の価値は、査定で客観的な数字にしておくと、書面の説得力が増します。
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公正証書にすると、いくらかかる?
公正証書は、公証役場に手数料を払って作ってもらいます。金額は、代償金や養育費など「取り決めの対象となる金額(目的価額)」によって段階的に決まります。目安は次のとおりです。
| 目的価額 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 49,000円 |
見落としやすい点が2つあります。まず、手数料は「決めごと(法律行為)」ごとに計算されるということ。代償金の支払いと養育費の支払いを1通の公正証書にまとめて書く場合、それぞれの目的価額で手数料が別々に算定され、合算されます。もうひとつは、作成後に受け取る正本・謄本の交付には、別途、用紙代(1枚250円)がかかるということです。取り決めの内容が多くページ数が増えるほど、この分も積み上がります。たとえば3ページ程度の公正証書で正本・謄本を1部ずつ受け取る場合、原本・正本・謄本を合わせた枚数分(1枚250円)で2,000円前後が目安です。
誤解に注意:「公正証書があれば、名義変更も強制的にできる」わけではない
冒頭で触れた「強制執行認諾文言」には、見落とされがちな限界があります。
❌ 「公正証書に『〇月〇日までに名義を移す』と書いておけば、相手が動かなくても強制的に登記を進められる」
✅ 進められません。強制執行認諾文言付き公正証書(執行証書)で強制執行の対象にできるのは、金銭の支払い(代償金・養育費など)や、これに準じる代替物・有価証券の給付に限られます(民事執行法22条5号)。名義変更の登記のように「相手に意思表示をさせる」タイプの請求は、対象に含まれません。
→ 相手が約束どおり名義変更(登記)に協力しない場合、登記を強制的に進めるには、登記手続を命じる確定判決や、それと同じ効力を持つ調停調書など、公正証書とは別の債務名義が必要になります(民事執行法177条)。名義変更を確実にしたいときは、期限を過ぎたら違約金が発生する条項を金銭債務として盛り込むなど、公正証書の強み(金銭執行力)が生きる形で備えるのが現実的です。条項の設計は弁護士にご相談ください。
同じ理由で、「家に住み続けている元配偶者が退去しない」ケースも、公正証書だけでは強制的に立ち退かせられません。建物の明渡しを求める請求も、強制執行認諾文言付き公正証書の対象には含まれないためです。退去してもらえない場合は、別途、明渡しを求める訴訟や調停が必要になります。「売って分ける」「一方が住み続ける」のどちらにするかを早めに固め、期限を書面に明記しておくことが、こうした事態を避ける一番の備えです。
公正証書を作るときに必要なもの
公証役場に予約を入れる前に、次のようなものを準備しておくと当日がスムーズです。取り決めの内容によって、公証役場から追加の書類を求められることもあります。
・本人確認書類:印鑑登録証明書(発行から3か月以内)+実印、または運転免許証・マイナンバーカードなど写真付き身分証+認印
・戸籍謄本:離婚前に作成するなら現在の戸籍謄本、離婚後なら離婚後の戸籍謄本
・家に関する書類:登記事項証明書・固定資産評価証明書、ローンが残っているなら残高の分かる書類
・年金分割の書類:年金分割もあわせて決める場合は、年金手帳と「年金分割のための情報通知書」
夫婦のどちらかが公証役場に出向けない場合は、実印を押した委任状と印鑑登録証明書を用意すれば、代理人に依頼することもできます。必要書類は取り決めの内容によって変わるため、訪問前に公証役場へ電話などで確認しておくと、当日の二度手間を避けられます。
次にやること(チェックリスト)
☐ 家の扱い(売る/取得)を決め、書面に明記する
☐ 名義変更の時期・ローンの負担・連帯保証の扱いを書く
☐ 金銭の取り決めは公正証書(強制執行認諾文言つき)にする
☐ 「協議書に書けば連帯保証が外れる」という誤解を持たない
☐ 文案・法的効力は弁護士、家の価値は査定で固める
よくある質問(FAQ)
Q. 協議書と公正証書、どちらがいいですか?
金銭の取り決めがあるなら、強制執行認諾文言を入れた公正証書が安心です。相手が支払いを怠ったとき、裁判なしで差押えなどに進める効力があります。
Q. 「ローンは相手が払う」と書けば、私はもう安心ですか?
夫婦間ではそう決められますが、金融機関に対する責任(連帯保証など)は書面だけでは外れません。相手が滞納すればあなたに請求が来る可能性が残るため、連帯保証は完済・借り換え・売却で整理する必要があります。
Q. 公正証書の費用は夫婦のどちらが払うのですか?
法律で決まりはなく、話し合いで決めます。折半にする例も、取り決めで利益を得る側(代償金を受け取る側など)が負担する例もあります。トラブルを避けるため、費用の負担者も協議書・公正証書自体に明記しておくと安心です。
Q. 相手が公正証書の作成に協力してくれません。どうすればいいですか?
公正証書は夫婦2人がそろって公証役場に出向く(または代理人を立てる)必要があるため、相手の協力が前提です。応じてもらえない場合は、家庭裁判所の調停を利用する方法があります。調停で成立した内容を記した調停調書は、公正証書と同様に強い効力(債務名義)を持ちます。
この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。
財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年9月18日(民法472条ほか、確認済み)
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