別居中に家を売れる?──名義・共有・住宅ローン・タイミングの注意点

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先に結論をお伝えします。

別居中でも、家を売ること自体は可能です。ただし「誰の名義か」「共有かどうか」「住宅ローンが残っているか」で、できることが変わります。単独名義なら名義人の判断で売れますが、共有名義なら共有者全員の同意が必要。さらに、離婚成立の前に売ると税金(3,000万円控除)で不利になることもあり、タイミングも重要です。私は買取・査定側の立場から、別居中に家を動かすときの注意点を、どちらの立場にも立たずにお伝えします(分与の取り決めは弁護士、税は税理士の領域です)。

「離婚に向けて別居を始めた。生活費もかかるし、家を早く売って現金にしたい」——そう考える方は多いです。ただ、別居中の売却は、勢いで進めると後で揉めるポイントがいくつもあります。順番に確認しましょう。(離婚と家の全体像は「離婚で家はどうなる?完全ガイド」にまとめています。)

まず確認:名義と共有

名義 別居中に売れるか
自分の単独名義 名義人の判断で売却可能(ただしローン・分与への配慮は必要)
相手の単独名義 あなたの一存では売れない
共有名義 家全体は共有者全員の同意が必要。自分の持分だけなら単独で売れる

共有名義で相手が売却に応じない場合は、自分の持分だけを手放すという選択肢があります(→「共有持分だけ売る」)。

注意①:勝手に売ると「財産分与」で揉める

【買取の現場から】 たとえ自分の単独名義でも、その家が婚姻中に築いた財産(分与の対象)なら、売却代金は財産分与の話に関わってきます。別居中に一方が独断で売って現金化してしまうと、「勝手に処分した」と相手ともめる原因になります。売却の可否や進め方は、分与の取り決めと切り離せないので、動く前に弁護士に相談しておくのが安全です。

離婚に伴う家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が、条件に合う物件を買い取っています(取引態様:当社が契約の当事者となる売買(直接買取))。買取の相談ができる物件か確認する

注意②:売るタイミングで税金が変わる

マイホーム売却には3,000万円の特別控除がありますが、配偶者への譲渡には使えず、離婚成立の前後で扱いが変わることがあります。別居中(=まだ婚姻中)に動かすか、離婚成立後にするかで、税負担が変わるケースもあるため、家を動かす前に税理士へ(詳しくは「3,000万円控除はタイミングで変わる」)。

注意③:住宅ローンが残っているなら

ローンが残る家は、売却代金で完済できるかがポイントです。届かない(オーバーローン)なら、そのままでは売れないことも(→「オーバーローンの家はどうなる」)。まずは「売っていくら・残債はいくら」を把握しましょう。

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別居を始めた日が「分ける財産」の区切りになります

財産分与では、一般的に別居を始めた時点で、分ける対象になる財産の範囲が区切られます(婚姻中の協力関係がそこで終わったと考えるためです)。一方で、家の価値は、実際に分ける時点の時価で評価されることが多いです。

これが別居中の売却に効いてきます。

  • 別居後に一方が払い続けたローンは、分与の計算で考慮されることがあります。家を出た側が別居後もローンを払っているなら、その記録を残しておいてください
  • 別居後に家の価値が動いた場合(値上がり・値下がり)も、評価の時点の考え方で結論が変わります

具体的な扱いは事情によって変わるため、弁護士にご確認ください。ここで押さえておきたいのは、「別居した日」と「別居後の支払い」の記録が、あとで金額に効くということです。

家を出た側が知っておくべき「3年ルール」

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除は、自分が住んでいる家が対象です。では、別居で家を出た側はもう使えないのか。

住まなくなった後も、期限内なら対象になり得ます

住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、特例の対象になり得ます。

例:2026年5月に家を出た → 3年を経過するのは2029年5月 → 2029年12月31日までの売却が目安

別居が長引いて協議がまとまらないまま年月が過ぎると、この期限を越えてしまうことがあります。家を出た側にとっては、協議の長期化がそのまま税金のリスクになります。また、この特例は配偶者への譲渡には使えないなど要件があるため、適用できるかは必ず税理士にご確認ください。

相手が勝手に売ってしまうのを防ぎたいとき

逆の立場の不安もあります。家が相手の単独名義だと、相手は法的には自分の判断で売ることができてしまいます。売却代金を使われてしまうと、分与を求めても回収が難しくなります。

このような心配がある場合は、早めに弁護士に相談してください。財産の処分を止めるための法的な手続き(保全処分)があり、状況によっては売却を防げることがあります。手続きには要件と時間がかかるので、「売られてから」ではなく「売られそうだと感じた時点」で動くのが大切です。

相手が住み続けている家を売るときの壁

【買取の現場から】 別居中の売却でよくあるのが、自分は家を出たが、相手と子どもがまだ住んでいるという形です。名義が自分でも、実務上は住んでいる側の協力なしには進みません。

  • 内覧:仲介で売る場合、買主候補が室内を見に来ます。住んでいる側が応じなければ、売却活動そのものが止まります。生活感のある室内は、価格にも響きます
  • 退去の時期:引き渡し日までに退去してもらう必要があります。ここが決まらないと、買主と契約を結べません
  • 室内の状態:退去時の残置物や傷みが、引き渡し条件に影響します

このため、居住中の家を売るなら「いつまでに退去するか」「内覧にどう協力するか」を合意書に入れておくことが欠かせません。どうしても内覧の協力が得にくい場合は、室内を見るのが査定時の1回で済み、引き渡し時期も相談しやすい買取を比べる価値があります。価格は下がりますが、協力を得られずに売却が半年止まるより、結果的に手元に残る額が大きくなることもあります。

別居中に売るなら、この順番で

【買取の現場から】 別居中の売却でトラブルになるのは、ほとんどが順番の問題です。

  1. 登記簿で名義を確認する(法務局で誰でも取得できます)
  2. ローンの残債を確認する(返済予定表・残高証明)
  3. 仲介と買取の両方で査定を取る(売れる額の天井と、確実に現金化できる床を知る)
  4. 売ること・代金の扱いを書面で合意する(口約束のまま売らない)
  5. 売却代金は、分け方が決まるまで分けずに保管する

5番目が抜けがちです。売却代金を一方の口座に入れたまま協議を続けると、「使われた」「使っていない」で揉めます。分け方が決まるまで引き出さない約束をする、弁護士に預かってもらう、といった形で、代金の置き場所を先に決めておくと安全です。

別居中のマンションで、特に注意が必要な3つのこと

マンションは戸建てと違い、誰も住んでいなくても毎月の支払いが続きます。別居が長引くほど、次の3つが売るときの条件に効いてきます。

1. 管理費・修繕積立金は、住んでいない側も払い続ける

管理組合に対して支払義務を負うのは、住んでいる人ではなく登記上の所有者(区分所有者)です。家を出た側が名義人なら、住んでいなくても支払いは続きます。夫婦のどちらが負担するかは、別居中の生活費とあわせて取り決めが必要です。

見落としやすいのは、滞納したまま売ろうとしたときです。滞納した管理費・修繕積立金は、買った人にも請求できると法律で決まっています(建物の区分所有等に関する法律8条)。売買契約で「買主は負担しない」と決めても、管理組合に対しては通用しません。そのため買主は滞納分を見込んだ価格しか出せず、滞納があるほど手取りは減ります。別居してから支払いが止まっていないか、管理組合の書類で確認してください。

2. 空いた部屋を貸す前に、借入先の金融機関に確認する

「誰も住まないなら貸せばいい」と考える前に、住宅ローンの条件を確認してください。住宅ローンは本人や家族が住むことを前提に低い金利で貸されています。無断で賃貸に出すと、目的外の利用として残りを一括で返すよう求められることがあります。

住宅金融支援機構のフラット35では、転勤などのやむを得ない事情で一時的に住めない場合、その住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能とされています。その場合も、金融機関の窓口で住所変更の手続きが必要です。民間の金融機関は扱いがそれぞれ違うので、貸す前に借入先へ相談してください。

3. 内覧できる状態かどうかで、売り方が変わる

相手と子どもが住み続けているマンションでは、内覧の調整が最大の関門になります。仲介で売るなら、買主候補が室内を見る機会を何度か作る必要があります。協力が得られそうにない場合は、室内を見るのが査定時の1回で済む買取と、価格を比べたうえで選んでください。

マンションを分ける方法そのものは「マンションを財産分与で分けるには?」で整理しています。

次にやること(チェックリスト)

☐ 登記簿で名義(単独/共有)を確認する
☐ その家が分与の対象かを把握する
☐ 売るタイミング(離婚の前後)と税金を確認する
☐ ローン残債と売却額の差を把握する
☐ 売却の可否・進め方を弁護士に、税金を税理士に相談する

よくある質問(FAQ)

Q. 別居中でも家を売れますか?
自分の単独名義なら売却は可能です。共有名義は家全体だと共有者全員の同意が要りますが、自分の持分だけなら単独で売れます。ただし分与や税金の観点から、動く前に専門家へ相談するのが安全です。

Q. 相手に黙って売ってもいいですか?
分与の対象になる家を独断で売ると、後で「勝手に処分した」と揉める原因になります。トラブルを避けるため、弁護士を交えて進めることをおすすめします。

Q. 別居中に売るのと、離婚後に売るのは、どちらが得ですか?
税金(3,000万円控除など)の扱いが離婚成立の前後で変わることがあります。どちらが有利かは個別事情によるため、家を動かす前に税理士にご確認ください。

Q. 別居して家を出ました。3,000万円控除はもう使えませんか?
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、対象になり得ます。たとえば2026年5月に家を出たなら、2029年12月31日までが目安です。配偶者への譲渡には使えないなど要件があるため、税理士にご確認ください。

Q. 別居後も私がローンを払っています。分与で考慮されますか?
考慮されることがあります。別居後の支払いの扱いは事情によって変わるため、支払いの記録(通帳・返済予定表)を残したうえで弁護士にご相談ください。

Q. 売却代金はすぐに半分ずつ分けてよいですか?
分け方が合意できていれば問題ありませんが、協議中なら分けずに保管するのが安全です。ローン残債の精算、他の財産との調整、税金の支払いなどで、最終的な取り分が単純な半分にならないことが多いためです。

Q. 別居中、マンションの管理費は誰が払いますか?
管理組合に対して支払義務を負うのは登記上の所有者です。住んでいるかどうかは関係ありません。夫婦のどちらが負担するかは、別居中の生活費(婚姻費用)とあわせて取り決めておくと、後の精算で揉めにくくなります。

Q. 管理費を滞納したまま売れますか?
売ること自体はできますが、滞納分は買った人にも請求できる決まりです(建物の区分所有等に関する法律8条)。買主はその分を見込んで値付けするため、手取りは減ります。売却前に精算するか、売買代金から清算する段取りを不動産会社に相談してください。

Q. 誰も住まなくなった家を賃貸に出してもいいですか?
住宅ローンが残っているなら、まず借入先に確認してください。住宅ローンは本人や家族が住むことが前提のため、無断で貸すと一括返済を求められることがあります。フラット35では、転勤などで一時的に住めない場合、戻ることを前提とした賃貸が認められています。

この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。

財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年9月25日

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