共有名義の家、相手に内緒で持分を売られる前に──離婚後の共有を守る方法

離婚の味方|共有名義・持分 共有名義・持分

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「離婚したんだから、もう相手とは関係ない」——実は、それが一番危険です。

共有名義の家をそのまま放置すると、ある日突然、見ず知らずの第三者があなたの”共有者”になることがあります。私は買取の現場で、このケースを何度も見てきました。「知らないうちに、家に他人が入り込んでいた」——そうならないための守り方を、順にお伝えします。

先に結論をお伝えします。

共有名義の家は、相手が「自分の持分」を、あなたの同意なく第三者に売れます。守る基本は、①共有を長く放置しない、②相手に先を越される前に自分から動く、③こじれる前に弁護士・専門家へ相談すること。とくに「離婚時に共有状態を終わらせておく」ことが最大の防御です。私は買取・査定側の立場から、共有名義の”守り方”を、どちらの立場にも立たずにお伝えします(個別の法的対応は弁護士の領域です)。

まず、この3つの勘違いを正しましょう

❌ 「自分の持分だけでは売れない」
✅ 売れます。共有持分は、他の共有者の同意なく第三者へ売却できます(あなたにも相手にも認められた権利)。

❌ 「共有名義だから、勝手に動かされる心配はない」
✅ 安心ではありません。家”全体”は勝手に売れませんが、相手の”持分”は勝手に売れます。

❌ 「離婚したから、家の問題も終わった」
✅ 終わっていません。共有のままなら、関係は登記簿の上で続いています。

なぜ「持分は同意なく売れる」のか

家全体を売るには共有者全員の同意が要ります。ところが、「自分の持分(共有持分)だけ」なら、単独で売れる。これは民法上認められた権利です。

【買取の現場から】 法律の話は以上ですが、現場で実際に起きるのはこうです——離婚後、関係が悪いまま共有を放置していると、元配偶者が「自分の持分」を持分専門の買取業者に売ってしまう。あなたには何の連絡もなく手続きは完了し、後日、その業者から通知が届いて初めて「知らない人が共有者になった」と気づく。私は、こうした”気づいたときには手遅れ”のケースを何度も見てきました。関係がこじれているほど、これは起こりやすくなります。

離婚に伴う家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が、条件に合う物件を買い取っています(取引態様:当社が契約の当事者となる売買(直接買取))。買取の相談ができる物件か確認する

放置するとどうなる?──時系列で見る

離婚
  ↓ 共有名義のまま放置
元配偶者が「自分の持分」を売却(あなたの同意なし)
  ↓
知らない業者があなたの共有者に
  ↓
「持分を買い取って」「使用料を」等の連絡・通知
  ↓
話がまとまらないと 共有物分割請求
  ↓
裁判所の手続き(最終的に競売になることも)

——このコースに入ると、当事者が増え、コントロールが効かなくなります。入り口は「放置」の一点です。

知らない人が共有者になると、何が起きる?

実際には、次のようなことが起こり得ます(すべてが起きるとは限りませんが、備えとして知っておく価値があります)。

  • 持分を取得した業者から連絡や書面(内容証明など)が届く
  • 「あなたの持分を買い取りたい」「持分を買い取ってほしい」といった交渉を持ちかけられる
  • 話し合いがまとまらないと、共有物分割請求を起こされる
  • 裁判所の手続きに進み、家が競売にかけられる可能性も出てくる

【買取側の本音】持分業者が本当に狙っているもの

持分を専門に扱う買取では、「持分を手に入れること」自体はゴールではありません。本当の狙いは、その先——最終的に家”全体”を整理して利益を出すことです。だから持分を取得したあと、残る共有者(つまりあなた)との交渉が始まります。私も現場で、「まず片方の持分を取得し、そこから全体の売却・整理まで進める」という流れを何度も見てきました。
——だからこそ、“待つ”のが一番危険なのです。相手に先を越されて「知らない業者との交渉」に巻き込まれる前に、自分の意思で先に動いておくことが、いちばんの防御になります。

守るための3つの基本

①放置しない 離婚時に共有を解消(売却 or 持分の整理)まで決めきる
②先に動く 相手が売りそうな気配があれば、自分の持分の扱いを先に検討する
③早めに相談 こじれる前に弁護士・専門家へ。選択肢を確保しておく

最大の防御は①「共有のまま離婚を終わらせない」こと。財産分与の段階で、家を売る・一方が引き取る・持分を清算する、のいずれかで共有を終わらせておけば、後の”見知らぬ共有者”リスクは断てます。

現実には、どう解決している?

現場で見てきた解決の形は、大きく次の3つです(どれが向くかは、相手が動くか・ローンが残るかで変わります)。

  • 家全体を売って現金で分ける:共有者全員が合意できるなら、最もすっきりする(→「仲介と買取の選び方」)
  • 一方が相手の持分を買い取る:住み続けたい側に資金・返済力があれば
  • 自分の持分だけを専門の買取に手放す:相手が動かず膠着しているとき、先に自分だけ抜ける

相手が話し合いに応じないなら、住宅ローンが残っているなら——状況で最適解は変わります。関連する論点はこちらもどうぞ:

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手続きの順番と期限――「時効」は実は2つある

この記事の前半で触れた「共有名義を放置する危険」には、見落としやすい落とし穴があります。「財産分与には期限があるから、その期限までに考えればいい」という誤解です。実際には、期限が決まっているものと、決まっていないものが混在しています。

権利・手続き 期限 根拠
財産分与の請求権 離婚が2026年3月31日までなら2年/2026年4月1日以降なら5年 改正民法(2026年4月1日施行)
相手が自分の持分を売る権利 期限なし(いつでも可能) 民法206条
共有物分割請求権 消滅時効なし(いつでも請求可) 民法256条

つまり、「財産分与を請求できる期限」が2年から5年に延びても、相手が持分を売れる期限が延びるわけではありません。相手はその気になれば今日にでも自分の持分を売れますし、新しい共有者になった業者も、いつでも共有物分割請求に進めます。「まだ期限まで余裕がある」は、共有名義の放置を続けていい理由にはなりません。

実務上の順番は、次の通りです。

①登記簿(登記事項証明書)で共有名義・持分割合を確認
 ↓
②財産分与の話し合い(離婚前、または離婚後の期限内に)
 ↓
③合意内容を離婚協議書・公正証書に明記
 ↓
④持分移転登記(司法書士に依頼)
 ↓
⑤登記完了・共有状態の解消

買い取る・売る、それぞれの金額の目安

共有を解消する方法によって、手元に残る金額は大きく変わります。時価3,000万円・持分2分の1ずつというモデルケースで比べてみます。

売却先 価格の目安 このケースでの金額
相手(家を取る側)が買い取る 時価×持分割合が基準になりやすい 1,500万円前後が目安
持分専門の買取業者へ売る 時価×持分割合×1/2〜1/3程度のことがある 450万〜750万円程度にとどまることがある

住宅ローンが残っている場合は、ここからローン残債の精算が別途必要です。金額差が生まれる理由は、業者は取得後の管理・交渉コストを見込んで査定するためです。「相手に安く買い取られてから気づく」より、当事者同士で先に金額を詰めておくほうが、双方にとって手取りが大きくなりやすい、という点は知っておく価値があります。

登記・税金の目安(固定資産税評価額2,000万円の家、持分2分の1を分与する場合)

登録免許税は、財産分与を原因とする移転登記では評価額×2%が基準です。移転する持分相当額1,000万円なら登録免許税は20万円程度が目安(ほかに司法書士報酬が数万円〜)。加えて、家を渡す側は取得時より値上がりしていると譲渡所得税がかかることがあります。マイホームの3,000万円特別控除は配偶者への譲渡には使えませんが、離婚が成立した「後」に分与すれば元配偶者への譲渡となり、控除の対象になり得ます。分与のタイミングは、税理士に事前確認しておくと安心です。

「家を取る側」「渡す側」で準備するものが違う

持分移転登記では、共有者それぞれが用意すべき書類が異なります。

立場 主に必要な書類 注意点
家を取る側(持分を受け取る) 財産分与協議書、住民票、固定資産評価証明書 ローンが残る場合、借り換え審査が必要になることがある
家を渡す側(持分を手放す) 登記識別情報(権利証)、印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内が目安) 連帯保証・連帯債務が残っていないか、金融機関へ別途確認が必要

登記識別情報を紛失している場合は司法書士による本人確認手続きなどの代替対応が必要になり、通常より時間も費用もかかります。早めに登記簿と一緒に確認しておきましょう。

次にやること(チェックリスト)

☐ 登記簿で共有名義・持分割合を確認する
☐ 離婚時に共有を解消する取り決めを弁護士と詰める
☐ 相手が動きそうなら、自分の持分の扱いを早めに検討する
☐ こじれる前に弁護士・専門家に相談し、選択肢を確保する
☐ 家全体を売るなら価値の把握から始める

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よくある質問(FAQ)

Q. 相手が私に黙って持分を売ることは、本当にできるのですか?
はい。自分の共有持分は、他の共有者の同意なく第三者に売却できます。相手にもあなたにも認められた権利です。だからこそ、共有を長く放置しないことが大切です。

Q. 知らない業者が共有者になったら、どうすればいいですか?
持分の買い取りや共有物分割などの話になることがあります。対応は個別事情で変わるため、早めに弁護士へご相談ください。当サイトは一般的な仕組みの説明までをお伝えします。

Q. こじれる前に、自分でできる防御はありますか?
最も有効なのは、離婚時に共有状態を解消しておくことです。すでに共有のままなら、自分の持分の価値や選択肢を早めに把握し、相手に先を越される前に動けるようにしておきましょう。

Q. 財産分与の請求期限が5年に延びたので、まだ急がなくても大丈夫ですか?
いいえ。延びたのは「財産分与を請求できる期限」であり、相手が自分の持分を売れる期限ではありません。相手はいつでも持分を売却でき、共有物分割請求にも消滅時効はありません(民法256条)。期限の有無にかかわらず、共有状態は早めに解消しておくのが安全です。

Q. 相手の持分を買い取る場合、いくら用意すればいいですか?
目安は「家の時価×相手の持分割合」です。時価3,000万円・持分2分の1なら1,500万円前後が基準になりやすく、住宅ローンが残っていればそこから残債の精算も必要になります。正確な金額は査定と司法書士・税理士への確認をおすすめします。

Q. 持分移転登記は自分でできますか?
法律上は可能ですが、登記識別情報(権利証)の扱いや財産分与協議書の書き方を誤ると後日のトラブルにつながりやすいため、司法書士への依頼が一般的です。費用は登録免許税(評価額の2%が目安)に加え、司法書士報酬が数万円〜かかります。

この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。

財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年10月1日

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