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「家は売って現金で分けたい。でも、子どものために引っ越したくない」——その両方を叶えるのがリースバックです。
売って所有権は手放すのに、同じ家に賃貸として住み続けられる。離婚で意外と相性の良い方法ですが、家賃や売却価格の面で知っておくべき点もあります。整理します。
結論(先にお答えします)。
リースバックとは、家を専門の会社などに売却して現金化し、その後は”賃貸”として同じ家に住み続ける仕組みです。離婚では、「売って現金で公平に分けたい」「住宅ローンを完済したい」「でも住環境は変えたくない」を同時に叶えたいときに向きます。所有権は手放すので、固定資産税や維持の責任からは解放されます。一方でデメリットも。売却価格は通常の売却より低めになりがち/毎月の家賃が発生/住み続けられる期間に定めがある場合がある——この3点は契約前にしっかり確認してください。まずは家の価値と残債を把握し、リースバックが成り立つかを見極めましょう。契約条件は個別に、提供会社・専門家へご確認ください。
「売る」と「住み続ける」は両立しない、と思われがちですが、リースバックはその間を埋める選択肢です。離婚での使いどころを見ていきます。(住み続ける方法の全体像は「離婚後も家に住み続けたい」にまとめています。)
リースバックが離婚に向く理由
【現場から】 離婚では、「借り換えの審査に通らず、住み続けられない」という壁によくぶつかります。専業だった、収入が不安定、といった事情で単独ローンが組めないケースです。リースバックなら、売却代金で住宅ローンを完済し、その差額を財産分与として分けつつ、賃貸として住み続けられる。「現金化・清算・住み続け」を一度に整理できるのが強みです。
メリットとデメリット(両方セットで見る)
| メリット | デメリット・注意 |
|---|---|
| ・売却で現金化し、公平に分けやすい ・住宅ローンを完済できる ・引っ越さず住み続けられる ・固定資産税・維持の責任から解放 |
・売却価格は相場より低めになりがち ・毎月の家賃が発生する ・住み続けられる期間に定めがある場合がある ・買い戻したい場合は条件しだい |
例えば、住宅ローンが残る家をリースバックで売り、残債を完済して差額を分与に回す——という使い方ができます。ただし売却額が残債に届かない(オーバーローン)と成り立たないこともあるため、まず価値と残債の確認が先決です(→「オーバーローンの家はどうなる」)。
離婚に伴う家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が、条件に合う物件を買い取っています(取引態様:当社が契約の当事者となる売買(直接買取))。買取の相談ができる物件か確認する
いちばん大事な確認──契約は「定期借家」か「普通借家」か
【現場から】 リースバックで一番大事なのに見落とされがちなのが、賃貸借契約の種類です。実務では、リースバックの契約は「定期借家契約」(2〜3年などで期間を区切り、更新=再契約は貸主しだい)が多数派。つまり「売っても住み続けられる」は、正確には「定めた期間は住める。その後は貸主次第」という意味です。「普通借家契約」なら借りる側の保護が強く、正当な事由がなければ一方的に追い出されにくいのですが、リースバックでは定期借家が使われることが多い。「ずっと住み続けられる」と思い込むのは危険です。契約前に、①借家契約の種類(定期か普通か)②期間③再契約の条件を契約書でしっかり確認しましょう。
なぜ売却価格は下がるのか──相場の7〜8割が目安
リースバックの売却価格が通常より安くなるのには、はっきりした理由があります。業者は、買い取った家をあなたに貸して家賃で回収するため、見込む家賃の利回りから逆算して買取価格を決めるのです。そのため市場で普通に売る場合より低くなりやすく、市場価格の7〜8割程度が目安として挙げられます(物件・エリア・業者で変わります)。「住み続けられる」価値と引き換えに売却額は下がる——このトレードオフを金額で把握したうえで判断しましょう。
💡 まず、いくらで売れるかを把握する[PR]
離婚の話し合いは、家がいくらになるかが決まらないと前に進みません。提携先の「持ち家売却」(株式会社セレス)は、最大5社の不動産会社にまとめて無料で査定を依頼できるサービスです。訪問査定を受けた方にポイントを付与するキャンペーンを行っていることもあります(付与額と条件は時期により変わります)。
2026年10月から、業者が説明すべきことがはっきりした
国土交通省は「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(リースバックに関するガイドライン)」を定め、2026年10月に施行しました。要点は、リースバックでは「売買」の条件だけでなく「賃貸借」の内容も、相手の判断に重大な影響を及ぼす事項に当たると明確にされたことです。つまり、家賃がいくらか・何年住めるのか・期間が来たら再契約できるのかを説明しないまま契約させる行為は、宅建業法の事実不告知の禁止に触れうる、ということです。あわせて、断った後の勧誘の継続や長時間勧誘といった「押し買い」に当たる勧誘の禁止も適用され、違反した業者には業務停止や免許取消があり得ます。
国民生活センターも2025年5月に「本当に「そのまま“ずっと”住み続けられる」契約ですか?」として注意を呼びかけています。相談の契約当事者は約7割が70歳以上ですが、中身は離婚の場面にも当てはまります。「売却後もそのまま住み続けられる」と説明されて契約したのに、家賃が値上げされて払えなくなったという相談です。
覚えておきたいこと:不動産の売却にクーリング・オフはありません。
離婚の話し合いで期日に追われているときほど、ここは踏みとどまる場面です。説明を受けていないと感じたら、消費者ホットライン188、または都道府県の宅建業担当課へ相談できます。
契約書で必ず見る5か所──借地借家法38条を手札にする
「定期借家か普通借家か」を確かめたら、その先があります。定期借家(借地借家法38条)には貸す側が守らなければならない手続きがいくつも定められていて、知っていれば借りる側の手札になります。契約書と説明の場で、次の5か所を見てください。
| 見る場所 | 根拠 | 借りる側にとっての意味 |
|---|---|---|
| 「更新がない」旨が書面で定められているか | 38条1項 | 公正証書による等の書面でなければ、「更新がない」とは定められない |
| 契約書とは別の書面で「更新がなく期間満了で終了する」と説明を受けたか | 38条3項・5項 | 貸主がこの説明をしなかったときは、更新がない旨の定めは無効とされている。ここは一番大きい |
| 契約期間が1年以上か | 38条6項 | 1年以上なら、貸主は満了の1年前から6か月前までの間に終了の通知をしなければ、終了を借主に対抗できない。遅れて通知した場合は通知の日から6か月を経過した後 |
| 床面積が200㎡未満の住まいか | 38条7項・8項 | 転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情で生活の本拠として使えなくなったときは、借主から解約を申し入れできる(申入れの日から1か月で終了)。これに反する借主に不利な特約は無効 |
| 家賃の改定に関する特約があるか | 38条9項 | 借賃の改定に係る特約があると、家賃の増減を請求できる32条の規定が適用されない。「2年ごとに見直す」等の文言は将来の家賃を固定しない |
とくに38条3項・5項は押さえる価値があります。契約書に署名しただけでは足りず、貸主はあらかじめ、更新がなく期間満了で終了することを記載した書面を交付して説明しなければならない、と条文に書かれています。署名した書類の中にこの説明書面があったかどうか、手元の控えで確認しておいてください(最終的な判断は弁護士・裁判所の領域です)。条文はe-Gov法令検索(借地借家法)で読めます。
離婚のお金としてどう効くか──計算例と期限
まず家賃の決まり方です。買い取る側は、貸して家賃で回収するため、家賃は「買取価格×想定利回り÷12」で逆算されるのが基本の形です。買取価格が高いほど家賃も上がる関係にあるので、「高く売れて家賃も安い」は両立しにくい。ここを知らずに「売却価格だけ」で比べると判断を誤ります。
モデルケースで並べます(相場3,000万円・残債2,000万円、買取は相場の75%、想定利回りを年8%と仮定した計算例です。実際の数字は物件・エリア・業者で変わります)。
| 項目 | リースバック | 通常の売却+賃貸へ転居 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 2,250万円 | 3,000万円 |
| 住宅ローンの完済 | ▲2,000万円 | ▲2,000万円 |
| 手元に残る額(分与の対象) | 250万円 | 1,000万円 |
| 毎月の家賃 | 15万円(2,250万円×8%÷12) | 12万円(近隣相場と仮定) |
| 2年分の家賃 | 360万円 | 288万円 |
| 2年後の手元 | ▲110万円 | +712万円 |
この例では差が約820万円。これが「引っ越さない」ことの値段です。手元に残る250万円も、1年5か月分の家賃で消える計算になります。子どもの進学まであと1年なのか3年なのかで答えは変わるので、何年住むかを先に決めて、それから金額を比べるのが順番です。立場によって確認する先も違います。
- 住み続ける側:家賃を単独で払い続けられるか。収入に対する割合で見ておく。そのうえで上の5か所を契約書で確認する。
- 家を出る側:売却でローンが完済されるのは当然として、連帯債務・連帯保証から外れるかどうかを金融機関の書面で確認する。所有権が移っても、保証の契約は自動では消えません。
期限も押さえておきます。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 離婚の時から5年 | 家庭裁判所に財産分与の処分を求められる期間(民法768条2項)。※2026年4月1日より前に成立した離婚は原則2年 |
| 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 居住用財産の3,000万円特別控除を使える期間(住んでいるうちに売るリースバックなら、この期間内に収まります) |
税金でひとつ見落としやすい点があります。3,000万円の特別控除は、国税庁の要件で買主が配偶者・直系血族・生計を一にする親族・特殊な関係のある法人などである場合は使えません(国税庁タックスアンサーNo.3302)。リースバックで第三者である不動産会社に売る形なら、この要件については対象になり得ます。一方で「家を配偶者の名義に移す」形だと使えません。同じ「家を手放す」でも税の扱いが変わるところです(くわしくは「離婚で家を売ったときの3,000万円控除」)。前年・前々年にこの特例を受けていないことも要件なので、適用の判断は税理士にご確認ください。
次にやること(チェックリスト)
☐ 家の価値と残債を確認し、売って完済できるか見る
☐ リースバックの家賃・住める期間・買戻し条件を確認する
☐ 売却価格が相場より低めになる点を理解する
☐ 売却代金の分け方を弁護士と取り決める
☐ 契約条件は提供会社・専門家に確認する
よくある質問(FAQ)
Q. リースバックだと、いつまで住み続けられますか?
契約によります。期間の定めがある場合もあれば、更新できる場合もあります。契約前に「どのくらい住み続けられるか」をしっかり確認してください。
Q. 売却価格は普通に売るより下がりますか?
一般に、リースバックの売却価格は通常の売却より低めになりがちです。その分、住み続けられるメリットと天秤にかけて判断しましょう。まず複数社で価格を比べるのが安全です。
Q. 契約書にハンコを押しましたが、「更新がなく期間満了で終わる」という別の書面はもらっていません。問題になりますか?
借地借家法38条3項は、貸主があらかじめその旨を記載した書面を交付して説明しなければならないと定め、同条5項は、その説明をしなかったときは「更新がないこととする旨の定め」は無効とすると定めています。手元の控えを確認し、その書面が見つからないようなら、契約書一式を持って弁護士に相談してください。やり取りの記録やメールも残しておくと話が早くなります。
Q. 家賃の値上げを通知されました。断れますか?
借地借家法32条は、近隣の同種の家賃と比べて不相当になったときなどに、当事者が家賃の増減を請求できると定めています。増額の協議がまとまらない場合、請求を受けた側は増額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額を払えば足りる、ともされています(不足があれば後から利息を付けて精算)。ただし38条9項により、家賃の改定に係る特約がある定期借家ではこの32条が適用されません。契約書の家賃改定条項をまず確認し、対応は弁護士にご相談ください。
この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。
財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年10月9日
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