戸建てを財産分与で分けるには?──土地・建物・接道で価値が動く注意点

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戸建ての財産分与は、マンションより”読みにくい”——土地と建物、境界や接道で、価値が大きく動くからです。

「近所の家がいくらで売れたか」だけでは測れないのが戸建て。同じ広さでも、接道や境界の状態で数百万円変わることも。だからこそ、分ける前に正確な査定が欠かせません。戸建て特有のポイントを整理します。

結論(先にお答えします)。

離婚で戸建てを財産分与するときも、基本は①売って現金で分ける、②一方が住み続けて相手に代償金を払うの2つです。ただし戸建ては「土地+建物」で構成され、価値の測り方がマンションより複雑。価値の中心は土地で、建物は築年数とともに評価が下がります。さらに接道(前面道路との関係)・境界・私道の有無で売りやすさと価格が大きく変わり、条件次第では「思ったより売れない」こともあります。だからこそ、分ける前に複数社の査定で正確な価値を把握することが、マンション以上に重要です。分け方・取り決めは弁護士、税金は税理士にご相談ください。

戸建ては一軒ごとに条件が違うため、”相場”だけでは判断を誤ります。マンションとの違いから見ていきましょう。(マンションの場合は「マンションを財産分与で分ける」、財産分与の基本は「財産分与「2分の1ルール」」をどうぞ。)

戸建て特有の3つのポイント

【現場から】 買取の現場から見た、戸建ての財産分与の勘所です。

  • ①価値の中心は「土地」:建物は築年数とともに評価が下がり、古い家は建物価値がほぼゼロと見られることも。土地の評価が価格を左右する
  • ②接道・境界・私道で価格が動く:前面道路との関係や境界の未確定、私道持分の有無で、売りやすさと価格が大きく変わる(→「共有持分」も関連)
  • ③一軒ごとに差が大きい:同じエリア・広さでも条件差が出やすく、査定額が会社によってブレやすい。だから複数社比較が効く

土地の条件を具体的に──接道・境界・私道で何が起きるか

【買取の現場から】 「接道や境界で価格が動く」の中身です。戸建ての査定で業者が最初に確認するのはここで、結論が分かれるのもここです。

条件 何が起きるか 直せるか
建築基準法の道路に2m以上接していない 原則として建て替えができない。買主に住宅ローンが付きにくく、買える人が大きく減る 簡単には直らない
前面道路の幅が4m未満 建て替え時に道路中心から2m下がる必要があり、使える敷地が減る(セットバック) 直らない(面積が減る前提で評価)
私道に接し、持分がない 通行・掘削に他の所有者の承諾が必要。承諾が取れないと買主がローンを組めないことがある 承諾書で対応可。ただし交渉に時間がかかる
境界が確定していない 面積が確定せず、引き渡し条件で揉める。測量を求められる 測量で対応可(費用と1〜2か月)
越境がある(隣家の庇・ブロック塀・樹木) 将来の紛争リスクとして価格から引かれる 覚書で対応可。隣地との交渉が必要

離婚の場面で重要なのは、右端の列です。「直せる」ものでも、私道の承諾や境界確定は相手のある交渉なので1〜3か月かかります。協議の期限と衝突します。

だから順番が効きます。査定を取る段階で、自分の家がこの表のどこに当たるかを聞いておく。当たっているなら、協議を進めながら並行して手当てを始められます。売却を決めてから発覚すると、その分だけ引き渡しが後ろにずれます。

離婚に伴う家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が、条件に合う物件を買い取っています(取引態様:当社が契約の当事者となる売買(直接買取))。買取の相談ができる物件か確認する

古い家は「土地値」ではなく「土地値マイナス解体費」で見られます

戸建ての建物は、築年が進むと評価がほぼ付かなくなります。木造の法定耐用年数は22年で、実務でも築25年を超えると建物をほとんど評価しないことが多いです。

ここで食い違いが起きます。「建物の価値はゼロでも、土地の値段で売れるはず」と考えるのは自然ですが、買う側は更地にする費用を引いて考えます。

解体費用の目安

木造の坪単価 3〜7万円
延床30坪なら付帯工事込みで 約120〜210万円
住宅密集地で重機が入らない/残置物が多い/アスベストがある場合は、さらに上振れします(アスベストは調査2〜5万円、除去は数十万〜数百万円)

つまり「土地値3,000万円の古家」は、売却の現実としては2,800万円前後から始まることがあります。財産分与の金額を先に決めてしまうと、ここで約200万円の差=1人あたり約100万円の差が出ます。

逆に言えば、解体せずにそのまま買い取る相手を探すほうが、手元に残る額が大きくなることがあります。解体してから売ると、その費用は売主の負担になります。先に壊さないでください。

分け方は2つ(マンションと同じ枠組み)

方法 向くケース 戸建てでの注意
売って分ける どちらも住まない・公平に清算 接道・境界で売れ方が変わる。査定を厚めに
一方が住み、代償金 土地への愛着・住み続けたい 評価額の合意が難しいことがある

例えば、土地の価値が高いエリアの古家なら、建物はほぼ評価されず「土地値」で取引されることもあります。一方、接道や境界に問題があると、査定額が会社ごとに大きく分かれる。1社だけの数字で分与を決めると、後で「安すぎた/高すぎた」と揉める——これは戸建てで特に起こりやすい失敗です。

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査定額が会社ごとに分かれる理由(そして分与でどう使うか)

戸建てで査定額が数百万円違うのは、会社が適当に出しているからではありません。前提が違うからです。

  • 再建築の可否の判断が分かれる。接道が微妙な物件では、建築基準法43条の但し書き(特定行政庁の許可)を取れると読むか読まないかで、評価が大きく変わります
  • 解体前提か、リフォームして再販する前提かで数百万円変わります。リフォームのノウハウを持つ会社は建物を活かせるので、高く出せることがあります
  • 私道の承諾が取れると読むかどうか。取れる前提なら高く、取れない前提なら安くなります

分与での使い方──平均を取らないでください

3社の査定が2,400万・2,800万・3,100万と分かれたとき、平均の2,767万円で合意するのは避けてください。前提が違う数字の平均には意味がありません。
やるべきは根拠を聞くことです。「比較に使った成約事例」「再建築の可否をどう判断したか」「解体費をいくらで見たか」。これを書面で出せる会社の数字が、話し合いで使える数字です。根拠が示された査定書があれば、相手方にも、弁護士にも説明できます。

1社の数字だけで分与を決めると、後から「安すぎた/高すぎた」と揉めます。戸建てでこれが起きやすいのは、前提の幅が大きいからです。

戸建てには修繕積立金がない──だから負担の取り決めが必要です

マンションには管理組合があり、毎月の修繕積立金で大規模修繕に備えます。戸建てにはその仕組みがありません。外壁の塗り替え、屋根の補修、給湯器の交換、シロアリの防除——すべて、必要になった時点で所有者が現金で出します。

一方が住み続ける取り決めをする場合、ここが後で揉めます。名義は出ていく側のまま、住むのは相手という形だと、「誰が外壁の100万円を出すのか」が決まっていません。住んでいる側は「自分の家ではない」と考え、名義人は「住んでいる人が使っている」と考えます。

協議書を作る段階で、次を決めておくことをご検討ください(文面は弁護士にご相談ください)。

  • 日常の小修繕(給湯器・水栓など)は誰の負担か
  • 一定金額を超える修繕(外壁・屋根など)は誰の負担か、事前協議を要するか
  • 固定資産税・都市計画税は誰が払うか

決めずに数年が過ぎると、建物は傷み、売るときの評価も下がります。戸建ては「決めない」ことのコストがマンションより見えにくいぶん、後から大きく出ます。

次にやること(チェックリスト)

☐ 土地と建物それぞれの価値の目安を把握する
☐ 接道・境界・私道の状態を確認する(売りやすさに直結)
☐ 複数社の査定で価格帯を比べる(1社だけで決めない)
☐ 住宅ローン残債・売却の税金を確認する
☐ 分け方・取り決めは弁護士、税金は税理士に相談する

よくある質問(FAQ)

Q. 古い戸建てでも、財産分与の価値はありますか?
建物の評価はほぼゼロでも、土地に価値があれば「土地値」で取引されることがあります。エリアや条件によるため、まず査定で確認しましょう。

Q. 査定額が会社によってバラバラです。なぜ?
戸建ては接道・境界・土地形状などの条件差が大きく、評価が分かれやすいためです。複数社を比べ、価格の根拠を確認することをおすすめします。

Q. 古い家なので、先に解体して土地として売ったほうが高く売れますか?
先に壊すことはおすすめしません。解体費用(木造30坪で約120〜210万円)が売主の負担になり、そのうえ更地にすると固定資産税の住宅用地の軽減が外れる場合があります。古家付きのまま買い取る相手を探すほうが、手元に残る額が大きくなることがあります。判断は査定を取ってから比べてください。

Q. 境界が確定していません。売れませんか?
売れないわけではありませんが、測量を求められることが多く、費用と1〜2か月の時間がかかります。離婚の協議と並行して早めに着手するのが現実的です。査定の段階で「測量が必要か」を確認しておいてください。

Q. 3社の査定が数百万円も違いました。どれを信じればよいですか?
前提が違うために分かれています。金額ではなく根拠で選んでください。比較に使った成約事例、再建築の可否の判断、解体費の見方を書面で示せる会社の数字が、分与の話し合いで使えます。平均を取るのは避けてください。

この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。

財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年9月11日

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