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マンションの財産分与は、実は”分けやすい”——ただし、放置すると毎月の管理費が二人の財産を削り続けます。
マンションは戸建てより売りやすく、査定額もブレにくい。だからこそ、早く価値を把握して動けば有利です。逆に「決めずに保有」を続けると、管理費・修繕積立金が出ていくだけ。マンション特有のポイントを押さえましょう。
結論(先にお答えします)。
離婚でマンションを財産分与するときは、①売って現金で分ける(換価分割)、②一方が住み続け、相手に代償金を払うのどちらかが基本です。マンションは同じ建物内や近隣の成約事例が多く、査定額が比較的正確に出るため、価値の物差しを作りやすいのが利点。ただし注意点も。管理費・修繕積立金は住んでいなくても毎月かかり、話し合いが長引くほど二人の財産が目減りします。また、住宅ローンが残っていれば残債の確認、共有名義なら共有者の同意も必要です。まずは複数社の査定で”今の価値”を押さえ、分け方・取り決めは弁護士にご相談ください。
マンションは、戸建てとは分け方の勘所が少し違います。順に見ていきましょう。(財産分与の基本は「財産分与「2分の1ルール」」、戸建ての場合は「戸建てを財産分与で分ける」をどうぞ。)
マンション特有の3つのポイント
【現場から】 買取の現場から見ると、マンションの財産分与には次の特徴があります。
- ①査定額が正確に出やすい:同じマンション・近隣の成約事例が多く、価格の物差しを作りやすい。分与の話し合いが数字の上で進めやすい
- ②管理費・修繕積立金が続く:住んでいなくても毎月発生。塩漬けにすると、この固定コストが二人の取り分を削る(→「協議が長引くと家はどうなる」)
- ③流動性が高い:戸建てより買い手が付きやすく、売って現金で分ける換価分割と相性が良い
「査定が正確に出る」の中身──何で価格が決まるのか
【買取の現場から】 マンションの査定が戸建てより安定するのは、比較できる相手がいるからです。根拠の強さは、はっきり順番があります。
- 同じマンション内の直近の成約(これが最強。間取りも管理状態も同じなので、差は住戸の条件だけ)
- 近隣で築年・規模が近いマンションの成約
- 同じエリアの相場(ここまで落ちると精度は下がる)
そのうえで、同じマンション内でも住戸ごとに価格が動きます。効く順に並べるとこうです。
| 要素 | 価格への効き方 |
|---|---|
| 所在階 | 上階ほど高い。低層階と高層階で1割前後の差が出ることがある |
| 向き・眼前の抜け | 南向き・前面に建物がないほど有利 |
| 専有面積・間取り | 面積は単価の土台。田の字より角部屋が有利 |
| 室内の状態 | 水回りの交換歴があると差が出る。残置物があると引かれる |
逆に、マンションでも査定がブレる条件があります。ここに当たる場合は「マンションだから正確」と思い込まないでください。
- 総戸数が少ない(20戸前後など)。同じ建物の成約事例がほとんど出ないため、比較対象が消えます
- 修繕積立金が不足している、または長期修繕計画がない。将来の一時金負担が読めず、買主が慎重になります
- 管理費等の滞納が多い。管理組合の財務が弱いと評価が下がります
- 旧耐震基準。住宅ローンが付きにくく、買える人が減ります
財産分与では、この「ブレる条件に当たっているか」を先に確認しておくと、後から査定額が動いて話がやり直しになるのを防げます。
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決めずに持ち続けると、いくら減るのか
「管理費が毎月かかる」とだけ言われてもピンと来ないので、金額にします。国土交通省「マンション総合調査(令和5年度)」による1戸あたりの平均は次のとおりです。
1戸あたりの平均(月額)
管理費 11,503円
修繕積立金 13,054円
合計 約24,600円/月 = 約29万円/年
これに固定資産税・都市計画税が乗り、住宅ローンを払い続けているならその分も出ていきます。つまり協議が1年長引くと、管理費と積立金だけで約29万円。二人で分ければ1人あたり約15万円が、何も得ずに消えます。
タワーマンション(20階建以上)の場合はさらに重く、管理費の平均は約25,069円(3階建以下の低層マンションは約14,965円)。積立金と合わせると月4万円近くになるケースもあります。
「決めない」という選択には値札が付いている、ということです。早く動くほど有利というのは、精神論ではなく実額の話です。
分け方は2つ
| 方法 | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 売って分ける | どちらも住まない・公平に清算したい | 住宅ローンの残債・売却の税金を確認 |
| 一方が住み、代償金を払う | 子の学区などで住み続けたい | 代償金の資金・ローンの借り換えが要る |
例えば、時価3,000万円・ローン残債1,000万円のマンションなら、売って残債を返した残りの約2,000万円を分ける、という整理になります(諸費用・税は別途)。数字が具体的なほど、話し合いは前に進みます。
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代償金方式の最大の落とし穴は「借り換え審査」です
【買取の現場から】 「一方が住み続けて、相手に代償金を払う」——子どもの学区を考えると選びたくなる方法ですが、実務で最もつまずくのがここです。
住み続ける側には、ふつう2つの手続きが必要になります。
- 代償金の資金をつくる(現金で用意できなければ借入)
- 住宅ローンを単独名義にする(共有名義・連帯債務・ペアローンの場合)
どちらも金融機関の審査を通ります。そしてここが肝心です。審査は「住み続ける人ひとりの収入」で行われます。二人の収入を合わせて組んだローンを、片方の収入だけで引き受けられるか、という判断になります。借入可能額が足りなければ、通りません。
順番を変えるだけで無駄がなくなります
代償金方式を「選んでから」審査に出すと、落ちた時点で数か月を失い、結局売ることになります。その間も管理費と積立金は出続けます。
先に借り換えの事前審査を取り、通ることを確認してから代償金方式を選ぶ。これだけで、やり直しの数か月が消えます。並行して売却の査定も取っておけば、どちらに転んでもすぐ動けます。
もう一点。売却や名義変更をしても、連帯保証から自動的に外れるわけではありません。外れるには金融機関の手続きが別に必要です。住み続ける側・出る側のどちらにとっても重要なので、取り決めの前に金融機関に確認してください。
先に取っておくと1〜2週間速くなる書類があります
【買取の現場から】 マンションは、買う側が見たい情報が管理会社に集まっています。これが手元にあるかどうかで、話の速さが変わります。
- 重要事項調査報告書(管理会社が発行。管理費等の滞納の有無、修繕積立金の残高、長期修繕計画、駐車場の状況などが1枚で分かる)
- 管理組合の総会議事録(直近数年分。大規模修繕の予定や一時金の議論が読める)
- 長期修繕計画書
重要事項調査報告書は有料で、発行までに1〜2週間かかることが一般的です。査定を依頼してから取り寄せると、その待ち時間がそのまま遅れになります。査定を頼むのと同時に管理会社へ請求しておくと、1〜2週間を節約できます。
これは価格にも効きます。積立金の残高や修繕の予定が分からないと、買う側は「読めないぶん慎重に」見ます。情報が揃っているほど、不確実性を理由に引かれる余地が減ります。
すでに別居している場合は、管理費の負担や内覧の調整など、別居ならではの注意点が加わります。別居中に家を売れる?で整理しています。
次にやること(チェックリスト)
☐ マンションの今の価値を複数社の査定で把握する
☐ 住宅ローン残債と、管理費・修繕積立金の負担を確認する
☐ 「売って分ける」か「一方が住み代償金」かを検討する
☐ 塩漬けにせず、早めに価値の物差しを作る
☐ 分け方・取り決めは弁護士、税金は税理士に相談する
よくある質問(FAQ)
Q. マンションと戸建て、財産分与で分けやすいのは?
一般に、成約事例が多く流動性の高いマンションのほうが査定額が正確に出やすく、売って分ける換価分割と相性が良いとされます。ただし個別の条件によります。
Q. 住んでいないマンションの管理費は、誰が払うのですか?
名義や合意内容によります。住んでいなくても管理費・修繕積立金は発生するため、負担を早めに取り決めておくことをおすすめします。
Q. 同じマンションの別の部屋が売りに出ています。その価格が自分の家の価値ですか?
近いですが、そのままではありません。売出価格は「希望価格」で、成約価格とは違います。また所在階・向き・室内の状態で差が出ます(低層階と高層階で1割前後違うこともあります)。参考にはなりますが、物差しにするなら成約価格と自分の住戸の条件を突き合わせる必要があります。
Q. 総戸数が少ないマンションです。査定は正確に出ますか?
戸数が少ないと同じ建物の成約事例が出にくく、比較対象が減るため精度は落ちます。この場合は近隣の同規模マンションまで広げて見る必要があるので、複数社の査定を取って幅を確認することが特に重要になります。
Q. 代償金を払って住み続けたいのですが、借り換えが通るか不安です。
事前審査を先に取ってください。審査は住み続ける方ひとりの収入で行われるため、二人で組んだローンだと借入可能額が届かないことがあります。通らなかった場合に備えて、売却の査定も並行して取っておくと、方針転換のときに時間を失いません。
この記事について:離婚の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。
財産分与の取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。 最終更新日:2026年9月11日
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