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先に結論をお伝えします。
離婚で家を売るとき、止まる原因の多くは「売るかどうか」ではなく「いくらで売るか」です。売る意思は二人にあっても、価格で合意できずに話が振り出しに戻る——これは本当によくあります。解決の順番はシンプルで、まず”どちらの味方でもない中立な数字”(複数社の査定)で共通の物差しを作ること。感情では揉めても、数字は中立です。私は買取・査定側にいた宅建士として、なぜ価格で揉めるのか、どう動かすかを、どちらの立場にも立たずにお伝えします。
「離婚して家を売ることは、二人とも合意している。なのに、いざ進めると価格でぶつかって前に進まない」——。売却で本当に難しいのは、実は”売る決断”よりも、その先の”金額”なのです。(離婚と家の全体像は「離婚で家はどうなる?完全ガイド」にまとめています。)
現場でよく見る光景──「まとまった」が翌日ひっくり返る
【査定・買取側にいた立場から・一次情報】 私が現場で何度も見てきたのは、こういう場面です。
買主から買付(購入の申し込み)が入り、仲介の担当者も「これでまとまりました」と言う。ところが翌日、片方(夫または妻)から「やっぱりこの価格では納得できない」と連絡が入り、白紙に戻る——。担当者も、買主も、そしてもう一方の当事者も、はしごを外された形になります。こうした”翌日の白紙”を、私は何度も見てきました。
なぜ起きるのか。離婚の売却は、売主が2人いて、その2人の利害と感情が一致していないからです。通常の売却なら「売主が納得すれば成立」ですが、離婚では2人が同時に納得しないと、契約はひっくり返る。片方が「もっと高いはず」と感じている限り、いくら話がまとまったように見えても、土壇場で崩れます。
なぜ価格で揉めるのか──3つの理由
- 感情が数字の邪魔をする:相手への不信があると、「相手が持ってきた査定額」は、それがいくら妥当でも信用されません。「安く売って早く縁を切りたいのでは」と疑われる
- “売り出し価格”と”成約価格”を混同している:ネットで見た似た家の”売り出し価格”を基準に「うちもこれくらいで売れるはず」と思い込み、実際の成約価格とのギャップで揉める
- 片方が「住み続けたい」等の別の希望を持っている:売却そのものに納得しきれていない場合、価格を理由に反対することがある
共通するのは、「信頼できる、中立な価格の基準がない」こと。ここが埋まらない限り、話し合いは感情論の往復になります。
解決の順番──”中立な物差し”から始める(判断フロー)
STEP1 どちらか一方でなく、複数社に査定を依頼(中立な物差し) ↓ STEP2 各社の"成約ベースの数字"を並べ、極端な高値/安値を外す ↓ STEP3 その物差しを材料に、二人(または代理人)で再協議 ↓ STEP4 価格に納得 → 売却へ/どうしても割れる → 専門家(弁護士)へ
ポイントは、片方が用意した査定ではなく、複数社の数字を並べること。1社だけだと「その会社が安く見積もっただけでは」と疑いが残りますが、複数社の数字が近い範囲に集まれば、それが”相場”だと双方が納得しやすい。数字は、どちらの味方でもありません。だからこそ、止まった話し合いを動かす力があります。
なお、「いくらが落とし所か」「相手にどう飲ませるか」といった交渉そのものは、弁護士の領域です。当サイトは、その手前の”共通の物差しを作る”ところまでをお手伝いします(財産分与の額・条件の具体的な取り決めは、弁護士にご相談ください)。
例えば、こんなケース(モデルケース)
※説明のための想定例です。夫婦共有のマンションで、妻side(住んでいた側)は「思い入れもあるし4,500万円はする」、夫sideは「早く手放したいから4,000万でいい」と、入口から500万円ずれていたとします。ここで片方の査定を出しても、相手は信用しません。そこで3社に査定を依頼したところ、4,100万〜4,250万円に集まった——。この”揃った数字”を見て、二人とも「じゃあこの範囲で」と、ようやく前に進めた。感情の綱引きを、中立な数字が断ち切ったわけです。
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一度の入力で複数社の査定額を比べられます。どちらか一方が用意した数字ではない”揃った相場”は、止まった話し合いを動かす最初の材料になります。査定は無料です。
なお、相手がそもそも売却に応じない・連絡が取れないなど、価格以前で止まっている場合は「共有名義の家、相手が売却に応じないとき」もあわせてご覧ください。
次にやること(チェックリスト)
☐ 片方の査定ではなく、複数社に査定を依頼する
☐ “売り出し価格”ではなく“成約ベースの数字”で見る
☐ 極端な高値・安値を外し、中央あたりの範囲を共通の物差しにする
☐ その数字を材料に、二人(または代理人)で再協議する
☐ 価格の落とし所・分与の条件は、弁護士に相談する
よくある質問(FAQ)
Q. 相手が出してきた査定額が信用できません。
1社だけの査定は「その会社の見立て」に過ぎません。複数社に依頼し、数字が集まる範囲を見れば、どちらの側でもない相場が見えてきます。中立な数字を土台にすると、話し合いが進みやすくなります。
Q. 売る価格は、どうやって決めればいいですか?
複数社の査定を並べ、極端な数字を外した範囲を目安にするのが一般的です。ただし、その中で最終的にいくらで売り出すか・分与でどう分けるかの取り決めは、弁護士に相談しながら決めてください。
Q. 買付が入ったのに、相手が土壇場で反対しました。もうダメですか?
ダメとは限りません。多くは「価格に納得しきれていない」ことが原因です。中立な複数社の査定で相場を共有し直すと、折り合える場合があります。それでも割れるなら、弁護士を交えた協議に進みます。
Q. 家の名義が夫婦の共有です。価格が決まれば売れますか?
家を丸ごと売るには共有者全員の同意が必要です。価格に合意できれば前進しますが、相手が最後まで応じない場合の選択肢は「共有名義の家、相手が売却に応じないとき」で解説しています。
この記事の書き手について
不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。中古マンション・戸建ての査定・仕入れ・リフォーム・販売までを担当し、離婚に伴う共有名義やローン残債のある物件では、弁護士から査定依頼を受けることも多くあります。現場で見てきた実際を、夫・妻どちらの側にも立たない立場で解説しています。なお、財産分与の額・条件など法的な取り決めは弁護士に、税金は税理士にご確認ください。
最終更新日:2026年7月7日(民法768条・251条ほか法令確認済み)
